ナマコ班の研究成果(2015年度中間報告)

ナマコ班の研究進捗状況

近年の需要の急増に伴うマナマコ資源量の低下により、マナマコの資源管理の必要性と増養殖への期待が高まっています。しかし、現状では効果的な資源管理・培養技術を開発するために必要な、本種の食性など生態に関する基礎的な知見が不足しています。ナマコ班では、資源加入や種苗生産において最も重要な発育段階である生活史初期に着目し、稚ナマコに適した餌料の検討を目的とした給餌実験を行いました。

まず、舞鶴湾内で天然採苗した当歳の稚ナマコに、形状・サイズ・生活形態の異なる浮遊珪藻2種と付着珪藻4種を餌料として与えて成長の有無と成長速度を比較しました(図1、2)。すると、稚ナマコはいずれの珪藻種を摂食した場合にも成長が確認されました。その一方で、成長速度に珪藻種の違いによる有意な差はみられませんでした。

 図1.稚ナマコ餌料用の珪藻の培養作業

図2.給餌実験中の稚ナマコ

 次に、珪藻種間における稚ナマコの消化能力の違い、および成長に伴う消化能力の変化を調べるために、発育段階の異なる2グループの稚ナマコを用いて給餌実験を行い、糞内の珪藻の消化率および細胞殻の破砕の程度を顕微鏡下で観察しました(図3)。稚ナマコは孵化後1年目の冬季に急成長することが知られており、その前後で食性が大きく変わる可能性が考えられます。そこでこの前後の時期にあたる秋季と春季に実験を行いました。珪藻の消化率および破砕率は、浮遊珪藻の1種において他の付着珪藻種よりも有意に高いという結果が得られました。また、付着珪藻においても一部の種で成長に伴った消化率・破砕率の増加が認められました。

 図3.電子顕微鏡で見た糞内の付着珪藻の細胞殻
(左:正常な細胞殻 右:破砕された細胞殻)

これらの結果から、稚ナマコは珪藻を幅広く利用することが可能であること、また、成長に伴って特定の餌料に対する消化能力が徐々に高まることが示唆されました。ただ、珪藻種間で消化率と破砕率に差がみられたにもかかわらず、成長速度には差がないという意外な結果となりました。その原因には様々な可能性が考えられますが、稚ナマコが、珪藻が細胞外に分泌する粘液など細胞質以外の物質も利用している可能性、などが有力と考えています。今後、こういった点をふまえて稚ナマコに適した餌料について検討していく予定です。

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