2014年度 新任メンバーの紹介

2014年度より、東京大学大気海洋研究所から2名、京都大学フィールド科学研究教育センターより1名が、新たに沿岸複合生態系プロジェクトに参加することとなりました。本記事では、それぞれの方に自己紹介をしていただきます。

 鈴木啓太(すずき・けいた)

 京都大学フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 助教

 私は沿岸・河口域に生息する動物プランクトンと仔稚魚の生態学を専門にしています.学生時代は有明海の動物プランクトンと仔稚魚の生態について河口域に発達する濁度極大域との関係に注目して研究を行いました.その結果,有明海特産のカイアシ類とアミ類は濁度極大域の環境に特化した生活史を持つことにより周年にわたり高い密度を維持し,有明海特産魚をはじめとする多くの魚種の生産を支えていることが分かりました.ポスドク時代はラヴァル大学(カナダ国ケベック州)に所属し,北極海の動物プランクトンと仔稚魚の群集構造と近年の気候変動との関係を調べました.その結果,海氷の減少にともない,小型カイアシ類の密度が増加傾向にあること,また,イカナゴ類が多数出現するようになったことが分かりました.現在は若狭湾西部海域(丹後海)をフィールドに動物プランクトン群集と仔稚魚群集の季節変化と経年変化を徹底的に調べなおしています.今後は沿岸複合生態系プロジェクトと連携して研究を進めてゆきたいと考えていますので,どうぞよろしくお願いします.

《略歴》                                                            1999–2003 京都大学農学部生物生産科学科                                           2003–2005 京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻(修士課程)                                                                                                2005–2010 同大学院同研究科同専攻(博士課程・日本学術振興会特別研究員DC1)                                                 2010–2013 ラヴァル大学理工学部生物学科(ポスドク)                           2013–現在 京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所(助教)

竹茂愛吾(たけしげ・あいご)

 東京大学大気海洋研究所 生物海洋学分野 特任研究員

 海・山・川の自然豊かな鳥取県に生まれ,幼少時からの自然科学,特に海洋への興味から長崎大学水産学部に進学しました.修士論文で取り組んだ大村湾の水温データの解析から沿岸域の海洋環境が地球規模の環境変動に敏感に応答して変動しているということを明らかにしました.博士課程では対象海域を九州西岸域と広げ,気候変動と関連した沿岸域の物理環境の変化が水産資源にどういった影響を及ぼすのかについて,カタクチイワシを対象として研究を進めました.環境データの解析に加え,沿岸域の流動モデリング・粒子追跡実験により,沿岸域という小規模なスケールでは生活史初期の卵仔魚輸送の成否が加入量を左右する大きな要因となることが明らかとなりました.また,過去から現在にかけて,どのようなメカニズムで水産資源が変動してきたのかを理解した上で,現在懸念されている地球温暖化の進行は海洋環境の変化を通して水産資源にはどのような影響が与えうるのかについても研究を進めています.

 本プロジェクトは沿岸域の生物資源を研究対象としており,流動モデリングをはじめとして,私がこれまで学んできた専門知識を活かし,沿岸生物資源の再生・保全・持続的利用のための提言に貢献できればと思います.

《略歴》                                                 20093月 長崎大学水産学部卒業                                    20113月 長崎大学大学院生産科学研究科修士課程修了                           20143月 東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了                                     20144月 東京大学大気海洋研究所生物海洋学分野特任研究員着任

大土直哉(おおつち・なおや)

東京大学大気海洋研究所 生物資源再生分野 特任研究員

 沿岸岩礁域の海藻群落に生息する甲殻類(特にカニ類やヤドカリ類)の分類と生態を研究しております。修士課程と博士課程を通じて、相模湾長井沿岸岩礁域の様々な小型海藻群落について、甲殻類群集の種組成や食物網構造を調べました。長期継続的な定量採集調査からは、相模湾初記録種や未記載種を含む多様な甲殻類種が高密度に生息すること、海藻群落の種類や分布水深によって甲殻類の種組成が明らかに異なること、潮下帯の各海藻群落で優占する甲殻類種にとって、群落内に堆積したデトリタスが重要な餌料源であることなどがわかりました。博士課程では、海藻群落内で優占するモガニ類(モガニ科モガニ属のカニ類)の分類と生態について研究を深めました。過去の分類学的研究を詳しく調べ直してみた結果、「ヨツハモガニ」の名の下に複数の種が混同されていたことが明らかになりました。また、相模湾長井において、沿岸岩礁域で優占するモガニ類2種の生態について詳細に調べ、近縁種間でも海藻群落の利用様式が明瞭に異なることを明らかにしました。

 日本におけるモガニ類の分布状況や生活史はこれまで知られていたよりも複雑で、同所的に生息する近縁種間はもちろん、同種間でも、異なる海域間では利用可能な個生態系の分布様式の違いなどによって、少しずつ生態が異なるのではないかと考えています。モガニ類が生息する小型紅藻群落はアワビ類やウニ類など磯根資源の重要な初期生息場であり、また「ヨツハモガニ」はそれらの放流種苗の捕食者と考えられています。今後は、水産重要種との関係も視野に入れながら、甲殻類群集やモガニ類についての比較生態学的研究を行いたいと考えています。

本プロジェクトにおいては、大槌湾長根、牡鹿半島泊浜、相模湾長井、石垣島名蔵湾での、藻場生態系の定期調査に参加し、主に甲殻類に関するデータの解析を行います。また、当ホームページの管理・編集も担当しています。ホームページに関するご要望などありましたら、ご連絡ください。

《略歴》                                                   2005–2009年 早稲田大学教育学部理学科生物学専修(理学士)                                                                    2009–2011年 東京大学大学院農学生命科学水圏生物科学専攻修士課程(農学修士)                                                     2011–2014年 東京大学大学院農学生命科学水研生物科学専攻博士課程(農学博士)

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