スズキ班の研究成果(2014年度中間報告)

スズキ班の研究成果
-内湾からエスチュアリーの複合生態系におけるスズキの初期生態―

笠井亮秀・上野正博・益田玲爾・山下洋(京大フィールド研)

 複雑な初期生活史を送るスズキが、それぞれの発育段階において、なぜ異なる生態系を利用しているのか、またその初期生活史に地域による差(空間変動)や年による差(時間変動)はないのか、を明らかにするために、仙台湾から丹後海にいたる複数の河川の下流域と砂浜域において、スズキ仔稚魚および餌生物のサンプリングと水温・塩分等の物理環境の観測を行った(図1,表1)。


図1.広浦における地曳網によるスズキ稚魚採集の様子。

 12014年度スズキ稚魚調査概要

海域・河川名 期間 頻度
仙台湾・名取川・高城川 5月-7 1回/月
涸沼・那珂川 5 1回/月
三河湾・矢作川・矢作古川 7 1回/月
丹後海(卵仔魚) 12月-2 1回/月
丹後海・舞鶴湾・由良川 4月-7 1回/週程度

  今年度は、関東北部や東北の太平洋岸では、採集されたスズキ稚魚個体数が少なかった。採集個体数は、一昨年度に少なく昨年度は多かったことから、年による変動が大きい傾向にある。関東北部、東北の太平洋岸では、卵稚仔期の産卵場から沿岸域への輸送・生残過程が年によって大きく異なると推定される。

 得られたサンプルの耳石日周輪を解析し(図2)、水域間で仔魚期の成長を比較したところ、暖水域では成長が良く冷水域では悪いという、生息水温と成長の間に相関が見られた。一方、着底後の稚魚の成長と水温との間に有意な相関はなく、個体密度等の他の要因による影響を強く受けることが示唆された。

 

図2.スズキの耳石(礫石,49日齢個体)。輪紋の数と間隔を計測する。

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