ニシン班の研究成果(2014年度中間報告)

平成26年度中間報告 ニシン班

 ニシン班では,内湾域(岩手県宮古湾)と汽水性湖沼域(北海道厚岸湾・厚岸湖海域)を産卵場・成育場として利用するニシンを対象として,本種が沿岸複合生態系をどのように利用しているかを明らかにするために,昨年に引き続き産卵場と仔稚魚の成育場の特定を目的とした野外調査を行いました。

【産卵場調査】
 3月に宮古湾,4月に厚岸湖・厚岸湾において産卵場調査を行いました。調査方法は昨年と同様で,船上から海草・海藻類を採集し,それらに付着しているニシン卵の有無を調べました。

 宮古湾では昨年は湾奥東部にあるアマモ場で初めて卵を確認しました。しかし,昨年秋の台風により湾奥東岸のアマモ場は大きな被害を受けてしまい,今年度の調査では船上からアマモを確認することができませんでした。そのため,その周辺に生育しているホンダワラ類などを調べましたが卵は確認できませんでした。また,湾奥西岸の藻場も調べましたが卵を見つけることはできませんでした。

厚岸周辺海域でも昨年は厚岸湖奥域でニシン卵を初めて見つけることができました。今年度は産卵親魚の来遊量が近年で最も多くなったことから,厚岸湖では昨年よりも多くの場所で卵を見つけることができました(図1)。厚岸湖では奥域ほど卵量が多かったこと,厚岸湾では卵が見つからなかったことから,厚岸ニシンの主産卵場は厚岸湖奥域と推定されました。

図1.厚岸湖で採集したアマモに付着するニシン卵

【仔稚魚採集調査】
 産卵場が見つからなかった宮古湾では,ニシン仔稚魚を採集できるのか少し不安でしたが,昨年同様に湾奥西岸を中心に仔稚魚を採集することができました(図2,3)。宮古ニシンにとって湾奥西岸が仔稚魚期の成育場になっているようです。東岸の産卵場がなくなっても仔稚魚が捕れたことから,我々がまだ調べていない場所で産卵していることもわかりました。来年の産卵場調査ではより広範囲に調べる必要があります。
 

 図2.宮古湾での調査風景.
 宮古湾では船外機船による巻き網採集や小型定置網漁でニシン仔稚魚を採集します。

図3.宮古湾で採集したニシン稚魚

 厚岸湖・湾での調査では(図4,5),こちらも昨年同様に厚岸湖で仔稚魚が捕れました(図6)。例年よりも産卵量が多かったことから,仔魚の発生量も多いのでは期待して調査を行いましたが,発生量は例年と同量~やや多い程度でした。ふ化してから20 mmほどの仔魚になるまでに例年よりも大きな減耗があった可能性が考えられました。

両海域とも水温・塩分や餌料生物などの環境調査も行っています。今後は成育場を形成する環境要因についても検討する予定です。

図4.厚岸湖での調査風景①
草原のように見えるのは全てアマモ。厚岸湖では春から夏にかけてアマモが著しく成長し,湖内中央部を中心に高密度となりますが,ニシン仔稚魚はアマモ密度の低い場所で採集されます。


図5.厚岸湖での調査風景②
 厚岸湖では小型地曳き網を船外機船で曳網してニシン稚魚を採集します。船上でニシン稚魚の選別を行います。

図6.厚岸湖で採集したニシン稚魚

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