ナマコ班の研究成果(2014年度中間報告)

ナマコ班の研究進捗状況

若狭湾西部に位置する舞鶴湾は、マナマコが多数生息する好漁場となっています。マナマコは生活史の各段階で様々な環境を使い分けるため、天然資源の管理のためにはそれぞれの段階について知見を深める必要がありますが、自然環境下における個体の初期生態についてはほとんど明らかとなっていません。

ナマコ班では、昨年度に引き続き2014年度についても初期生態の時期に注目して研究を進めています。マナマコは産卵直後に浮遊生活をする時期があり、この時期の個体を浮遊幼生と呼びます。浮遊幼生を京都大学舞鶴水産実験所の観測桟橋にてプランクトンネットの鉛直引きにより一日一回採集し(図1)、舞鶴湾内での浮遊幼生の出現数の増減を調べ、天然個体の産卵のタイミングを推定しました


図1.舞鶴湾の観測桟橋でプランクトンを採集

 2014年度のマナマコの浮遊幼生(図2)は、「6月初旬に多い」「月周期との関係は不明瞭」という傾向があることがわかりました。一方、昨年度の結果に対しても統計的な検討を加えた結果、マナマコの浮遊幼生は「満月から数日付近に多い」といったことがわかりました。昨年度は月周期がみられたものの今年度はそうではなかった原因として、今年は6月初旬に幼生密度のピークが一度みられたのちにまとまった降水があり、浮遊幼生が湾外に流出するなどの現象が起こったため幼生密度が低下し、月周期との関係が不明瞭になった可能性などが考えられます。


図2.調査で採集されたナマコ類の浮遊幼生

 また、月周期にあわせた潮位変動のほとんどみられない日本海沿岸において幼生密度に月周期がみられたことから、潮位とは別の環境要因(月の光など)がマナマコの産卵に影響していることが示唆されました。

 今後は浮遊幼生期の次の段階である着底期を対象とし、どういった場所がマナマコにとって好適な環境であるのか、着底に関わる環境要因について検討していく予定です。

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